KA[K]-流景

KA[K]-流景

SICF21 出展作品

KA[K]-流景

KA[K]とは、「色温度(K=ケルビン)」と「回帰」の言葉を組み合わせた造語です。
この装置には3枚の絵があり、左=東側の「題:あの日」から、右=西側の「題:ある日」に向かって、光の波を模したLEDが流れていきます。LEDの光が暖色から寒色になるに連れて、波の動きを速めながら、東から西に動いていきます。
光の流れに沿って右=西側の「ある日」を見ると、その中に反対側の「あの日」が映り込み、いつかの「ある日」へと変化する様子が伺えます。
この「ある日」と「あの日」が重なり合った時、互いに干渉し合った光の波が強め合って、最も明るくなります。
私はその瞬間をAR(拡張現実)と組み合わせ、時間の概念が異なる2つの世界で『KA[K]-流景』を制作しました。

副題にある流景とは、流れる光や過ぎゆく月日のことを表します。平安時代の詩人、藤原周光(ちかみつ)が詠んだ詩に登場する言葉です。
現代の人たちが流景と聞くと、流れる景色と捉え、新幹線や電車で見える景色を想像する人が多いのではないでしょうか。一方で、もし藤原周光が高速で移動する乗り物に乗ったとしたら、どんな言葉で表現したのでしょうか。古来より、日の光は人々の暮らしを発展させ、光の解明が進むにつれて地球上の私たちの生活は移り変わってきました。

さらに今では地球の外の世界でも、光の解明が続いています。火星では、夕焼けが青いことを探査機が伝えてくれました。地球上では夕焼け時に暖色になりますが、火星では異なるのです。遠い未来、今の流景とは感じ方が異なる場所で、私たちは暮らしている可能性もあります。
私は現代に生きる人として、この星の未来へと思いをはせる装置を作品にしました。

>> AR <<

AR表現
この作品でのAR表現は、光の波が合った最も白く輝いた瞬間を、時間軸がない・もう一つの似た空間を作る手段として用いた。体験者は、平面作品の手前にスマホのモニター(ある意味光が集合した状態)を重ね、見比べて鑑賞する。
AR空間の背景には、和紙のような質感で光に包まれているようなテクスチャを貼り、スマホの動きによってシワが動いて静止する仕組みになっており、地面には海が静かに波打っている…
繰り返されるアニメーションに、平安時代を彷彿とさせる琴の音も加わり、「回帰」の世界を意識した。明るく静的なAR空間を目指し、周りには何も描かれていない白い平面が無数に広がっている。

平面作品
一瞬の光の連続を閉じ込めたいと思い、スキャナーで記録するといった手法を選んだ。スキャンされるときに完成形を想像しながら物を動かしたり、試行錯誤の末、意図に沿った3枚の写真を再度アクリルへ印刷した。(画像:途中経過のようす)

ほか、すべてARや映像で表現するのではなく物理的な現実世界では、アナログ的な表現を加えた。
「あの日」では、太陽の光が海に照らされ乱反射しているようすをイメージし、一部ぬるっとした表面に仕上げた。「ある日」では、夜空の星々を感じられるよう裏から穴をあけ、光ファイバーを刺した。LEDの動きによって、星の光が息しているかのようになった。

Technical cooperation(LED&USB):
Nakano Taisuke

SICF21 オンラインビューイング(A日程):
https://my.matterport.com/show/?m=86n3FFeGUVe&lang=en&play=1

© OnoNatsuki